鳥せいのお酒 たれ口

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いつもへべれけ、中年を過ぎた酒屋の三男坊

 

ぼんです。

 

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今日は、お酒の話、

 

鳥せいの冬の定番「たれ口」です。

「たれ口」搾り器の口から垂れてくるという意味で

 

しぼりたてのお酒を意味します。

 

ほかに、搾り器のことを「ふね」というので「ふなくち」とか

 

搾りたてのお酒は、荒々しい味なので「あらばしり」とか

 

色々な言い方があります。

 

鳥せいの「たれ口」は、味わいが深くて、口当たりが良くて、香りが良くて、

わずかな炭酸を含んでいるのが特徴です。

 

☆深い味わいに関して 

 

昔は、濃いお酒が好まれていたり、活性炭濾過(色を透明にする)や、

割り水(加水して、アルコール度数を下げる)にも耐える為に、

搾りたてのお酒は、飲みにくいものだったのですが、

当社では、少しくらい色があっても、搾ったときに、美味しいお酒を造っています。

 

☆香りに関して

 

お酒の発酵は、お米の澱粉を麴菌(こうじ)の酵素が糖分に変えて

糖分を酵母菌がアルコールと二酸化炭素に分解することで、造られます。

 

アルコール分の少ない発酵の最初は、酵母菌も香りのいいアルコール(高級アルコール)

を多く出しているのですが、発酵の最終段階では、自分の出したアルコールで殺菌されてしまいそうになるので、良い香りを出しにくくなります。

最後まで発酵させると、香り成分の少ないお酒になることが多いのです。

そこで、酵母菌に無理をかけないぎりぎりの段階で、搾ることにしています。

また、搾る時間も、大手他社に比較すると、短い時間です。

(当社の酒粕が美味しいといわれるのは、この原因が多いと思われます。)

 

☆炭酸ガスに関して

 

アルコール発酵は、酵母菌が糖分をアルコールと二酸化炭素に分解することをいいます。

 

つまり、発酵していると、二酸化炭素が多く発生します。

ちなみに、ビールやシャンパンは、これを瓶内に閉じ込めたものです。

パンも、この二酸化炭素で膨らむのです。(さかだねパンって、アルコール発酵に使う酵母菌で膨らませたパンの事です)

 

日本酒の場合は、無理に閉じ込めることはしないのですが、

搾りたてのお酒には、多少の炭酸ガスが残ります。

それをそのまま持ってきたのが、たれ口です。

 

☆口当たりに関して

 

搾り始めて、1・2時間の間は、「袋香」といって

 

渋い味が残るお酒です。

 

そして、搾りの圧力を高める後半は「せめ」といって

 

味が濃くなります。

 

たれ口」「なかどり」といって、搾り始めて、2時間くらいから、4時間くらいの

圧力をあまりかけていない時間帯のお酒です。

 

その為、濃い味なのに口当たりがいいお酒です。

 

 

長々と説明しましたが、搾りの時期も最終段階、たれ口も4月後半くらいまでです。

 

あと少しですので、飲みに来てください。